最新記事

パンデミック

コロナ震源地交代 死者が減り出したイタリアと、「最も辛い1週間」を迎えるアメリカ

COVID-19 Cases Hit 1.28 Million, Italy Daily Death Rate Falls Significantly

2020年4月7日(火)18時25分
スー・キム

イタリアではもう1カ月近く全土封鎖措置が続いている REUTERS/Daniele Mascolo

<今や感染の爆心地となったアメリカではこれからの1週間が「人生で最もつらい時期になるだろう」と当局が警告>

米ジョンズ・ホプキンズ大学によれば、新型コロナウイルスは4月6日の時点で世界183カ国に広がっており、感染者は128万人を突破した。感染後に回復した人は26万5400人を上回り、死亡した人は7万人超に達している。

このうち、今や感染拡大の中心地となっているアメリカでは、これまでに33万7600人の感染が確認されており、これからの1週間でさらに死者が増える見通しだ。一方イタリア当局は、感染者の増加ペースが鈍化していることを示す兆候が確認されたと報告。また日本では、首都・東京の感染者増加に歯止めがかからないことから、政府が7日に緊急事態宣言を発令する予定だ。

■イタリア

イタリアの国民保護局は5日、新型コロナウイルスによる新たな死者が525人だったと報告。前日・4日の681人に比べて23%の減少で、3月半ば以降で最も少なかった(ただし翌日にはまた636人に増加)。

同国の保健当局者らによれば、新型コロナウイルスに感染して集中治療を受けている患者の数も、3日の4068人から、4日には3994人、5日には3977人へと2日連続で減少。重症ではない患者の数も、4日から5日にかけての24時間で2万9010人から2万8949人へと初めて減少に転じた。

イタリア保健省によれば、最も感染が集中しているのは北部のロンバルディア州で、5日時点での感染者は5万400人超。2番目と3番目がエミリアロマーニャ州とピエモンテ州で、感染者の数はそれぞれ少なくとも1万7000人と1万2300人に達している。

イタリアでは全土封鎖の緩和もあり得るか

同国は新型コロナウイルスの感染者が最も多い国のひとつで、6日の時点で感染者は12万9000人近くに達し、これまでに世界で最も多い1万5800人の死者が出ている。だが直近の数字は、イタリアでの感染率が大幅に下がっていることを示している。

イタリア国立衛生研究所(ISS)のシルビオ・ブルサフェッロ所長は報道陣に対して、「感染拡大のペースは鈍化し始めており、死者の数も減り始めている」と説明。さらに「今後もこの傾向が続けば、次の段階に進むことを考え始めるべきだろう」と、イタリア全土で続いている封鎖措置の緩和もあり得るとの考えを示した。

一方国民保護局のアンジェロ・ボレッリ局長は、「新たな感染者や死者が減ったからといって、警戒を緩めるべきではない」と警告する。

同国のコリエレ・デラ・セラ紙によれば、イタリア全土の封鎖措置は、4月12日のイースター(復活祭)まで延期が決まっているが、政府は店舗や事業所の営業を段階的に再開しつつ、当面の間はソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)の確保を維持する5段階の計画を立てている。

<参考記事>イタリアを感染拡大の「震源地」にした懲りない個人主義
<参考記事>「世界最多の新型コロナ感染者数」それでもアメリカの覇権が続く理由

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領の就任式、日本は出席せず=林官房長官

ビジネス

独輸出、3月は予想上回る前月比+0.9% 鉱工業受

ビジネス

UBS、クレディS買収以来初の四半期黒字 予想も大

ビジネス

為替150円超の円安は「安過ぎ」、日本経済強くして
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中