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誤解だらけの米中新冷戦

歴史で読み解く米中「新冷戦」の本質──再び敵対関係に逆戻りした本当の理由

HISTORY REPEATS: BACK TO CONFLICT

2020年9月24日(木)17時30分
ミンシン・ペイ(本誌コラムニスト、クレアモント・マッケンナ大学教授)

今にして思えば、その後の10年で中国はアメリカとの差を急速に縮めた。2000年当時、中国のGDPは1兆2000億ドル。対するアメリカGDPは10兆ドルだったが、2010年には中国が6兆ドルで、アメリカが15兆ドル。アメリカの中国に対する経済的優位性はわずか10年で8.3倍超から2.5倍にまで縮まっていた。そしてドナルド・トランプが大統領になった2017年には、2倍を割り込んでいた。

これまでのアメリカが限定的ながらも中国への「関与」を続けてきたのは、中国民主化の甘い夢を見ていたからではない。経済的にも軍事的にも、中国とは圧倒的な差があると信じていたからだ。

しかし、この10年でその前提が崩れた。さらに中国は南シナ海に軍事拠点となる人工島を建設し、「一帯一路」構想を通じてアジアから欧州にまで勢力圏を拡大しようとしている。だからこそ、いまアメリカでは「関与」政策の是非が問われ、対決ムードに拍車が掛かっている。この先、これが冷戦以上の敵対関係に発展せねばいいのだが。

<2020年9月22日号「誤解だらけの米中新冷戦」特集より>

【関連記事】中国とのライバル関係を深刻に扱うべきでない理由

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