最新記事

韓国社会

韓国、BLACKPINKリサも経験「本物の男」 軍隊リアリティ、パクリ企画もヒットするも炎上し公開中止に

2020年11月9日(月)20時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

『ニセモノの男(가짜사나이)』でカリスマ的人気を誇った教官イ・グン氏。しかしネット民たちにセクハラなど過去の悪行を晒されて…… JTBC News / YouTube

<人気番組をパクったユーチューブチャンネルが大ヒット。だがそこにいたのは色々とワケありな偽物の男たちだった>

今年は、コロナ禍のお籠り生活が続いたためか、さまざまなユーチューブコンテンツが人気を集めた。韓国では地上波放送局MBCの人気軍隊バラエティ『本当の男(진짜사나이)』をパロディしたユーチューブ番組『偽物の男(가짜사나이)』が評判になり、シーズン1終了後、さらにパワーアップしたシーズン2もユーチューブ配信されていた。そして、それだけに留まらず、なんと映画化の企画も出ていたそうだ。

ところが、先日このコンテンツが突然、動画全面非公開となってしまった。人気が高かっただけに、視聴していたファンは驚きを隠せず、ニュースでも報道されるほど話題となった。一体このユーチューブチャンネルに何があったのだろうか?

70年間、戦争が終結していない韓国

『偽物の男』を語るためには、まず元となった『本物の男』を紹介しなければならない。これは韓国MBCが2013年4月から放送していた軍隊系リアリティ番組だ。芸能人、スポーツ選手らが韓国軍に入隊し、訓練所内で生活する姿を追ったリアリティ番組で、徴兵制のある韓国ならではの企画だ。シーズン1、2と、「女性兵士」の特別バージョン。そしてパワーアップしたシーズン3にあたる『本物の男300』も放送された。さらに、KBS1でも1泊2日短期入隊番組『兵営体験 本物の男』というものまで作られた。

それだけ人気のあるのは、入隊前の男性ならこれから来るであろう軍隊生活を事前予習でき、入隊経験のある男性なら苛酷な軍隊生活を懐かしめる。また女性なら今軍隊にいる恋人や家族の暮らしに思いを馳せたり、除隊を待っていた頃を振り返る、といった具合で、韓国民なら誰もが自分のこととして感情移入できる内容だからだ。

これまでの出演者は、俳優のキム・スロや、芸人ホ・ギョンファン、歌手でタレント活動もしているヘンリー、スピードスケート選手ビクトリー・アンなど多様だ。また、実際の軍隊生活と違う点として各シーズンとも外国人タレントも数名参加していることが多い。

日本でも人気のあるアイドルグループのメンバーの出演もあり、これまでZE:Aのパク・ヒョンシク。MADTOWNのジョタ(イ・ジョンファ)。また、女性兵士版ではBLACKPINKのタイ人メンバー・リサ、MOMOLANDのジュイ、Brown Eyed Girlsのナルシャなども軍隊入隊経験を果たしている。

このように多くの韓国人から愛され認知度の高いTVシリーズとなった『本物の男』だが、これをパクリ、さらに過激な訓練にして作られたのが『偽物の男』である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ICC、ネタニヤフ氏とハマス幹部の逮捕状請求 米な

ビジネス

FRB副議長、インフレ低下持続か「判断は尚早」 慎

ワールド

英裁判所、アサンジ被告の不服申し立て認める 米への

ワールド

ウクライナ、北東部国境の町の6割を死守 激しい市街
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『悪は存在しない』のあの20分間

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 5

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル…

  • 10

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中