核合意問題めぐる米・イラン交渉、始まっても見えないゴール
絡み合う課題
英国、中国、フランス、ドイツ、ロシア、米国の6カ国とイランが合意したJCPOAは米国に対し、イランについて「核関連の」制裁のみを解除するよう求めている。
トランプ氏は核合意から離脱後、イランのテロ支援疑惑を含む他の分野にも多数の新たな制裁を科した。
バイデン氏がこれらの制裁を解除するよう求めるイランの要求に応じるのは、政治的に緊迫した状態を招き、不可能かもしれないと専門家は見ている。共和党から批判を受けるだけでなく、恐らく民主党の一部からも反対の声が出ると予想されるためだ。
ユーラシア・グループのヘンリー・ローム氏は「これら(の対イラン制裁)はテロ対策権限の下で極めて意図的に導入されており、米国にとって非常に政治的な問題だ」と指摘。「双方の交渉チームは、何を残して何を解除するかを決める、広範なプロセスを踏む必要がある」と述べた。
もう1つの難題は、米軍を攻撃したと疑われる勢力を含む中東の代理勢力にイランが支援を行っている点だ。イラク北部アルビルでは15日、米軍などが駐留する基地近くにロケット攻撃が行われ、米軍に出入りする民間業者1人が死亡、米軍兵士1人が負傷した。これにより米政府がイランに譲歩案を提示するのは一段と難しくなった。
イランによる米国人拘束も問題をさらに複雑にしている。米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は21日、イランで拘束されている複数の米国人の解放に向けて、イラン当局者と話し合いを始めたと明らかにした。