最新記事
ロシア軍

ロシア軍の兵器庫は無尽蔵? 破壊し尽くせない物量の恐怖

How Much Firepower Does Russia Have Left After Two Years of War?

2024年3月25日(月)22時00分
デービッド・ブレナン

いくら破壊してもきりがない?──ドネツク州ボホロディチネに横たわるロシア戦車の残骸(2月13日) Photo by Maxym Marusenko/NurPhoto 

<ウクライナに本格侵攻してからというもの。ロシア軍は無謀な作戦や失態で人員、兵器共に大きな損失を被ってきたが、目を見張る戦争継続能力を維持している>

2年にわたるウクライナへの本格侵攻で数々の失態を演じ、驚異的な損害を被ったにもかかわらず、ロシア軍がいまだに作戦を継続する能力を維持していることは明らかだ。

 

厳しい冬と消耗戦の末、戦況は再びロシア優位に傾いている。ウクライナちは思うような兵力増強ができず、西側諸国、特にアメリカからの軍事援助の減少に直面している。

【動画】ウクライナによるドローン攻撃により、ロシアT-90戦車が爆撃を受ける瞬間の映像

今年はウクライナにとって、生き残りを懸けた過酷な年になりそうだ。ロシア軍は兵士や装備の犠牲を問わず、ルハンスク州とドネツク州で構成される東部ドンバス地方全域の制圧を主目的とする攻撃を続けるとみられる。

ウクライナもロシアも詳細な死傷者数を定期的に公表することはしていない。ロイター通信が昨年12月に明らかにした機密解除された米情報機関の報告書によれば、2022年2月以降のロシア軍の死傷者数は推定31万5000人で、侵攻前の兵員の約90%にも相当する。ウクライナは、約43万5000人のロシア軍兵士を「排除」したと主張している。

現役は約110万人

一方、ウクライナ軍の死傷者総数は、8月にリークされた米軍のアセスメントを引用したニューヨーク・タイムズによれば約12万4500人から13万1000人で、戦死者は1万7500人に上る。またウォロディミル・ゼレンスキー大統領は今年2月、2年間の戦闘で3万1000人が死亡したと述べた。

ロシアは、囚人まで動員して兵を増やしてきた。2022年8月、プーチンは現役兵士の数を13%増員(約13万7000人)し、総兵力を115万人に引き上げるよう命じ、予備役30万人の「部分動員」も行われた。

国際戦略研究所(IISS)の「2024年軍事バランス」データベースによると、ロシア軍の現役兵力は全軍で約110万人、うち50万人が陸軍に所属している。さらに全軍で150万人の予備役がいる。

ロシアの機甲部隊はウクライナ軍の戦線を崩壊させる前衛の役割を担っているが、これまでの戦いは過酷だった。ロイターは、匿名のアメリカ政府関係者の話を引用し、ロシア軍は3100両の戦車で戦争を開始し、2200両を失ったと報じている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中