最新記事
ウクライナ情勢

やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに届く武器リスト

All the Weapons Ukraine Is Set to Receive From US, UK: Full List

2024年4月24日(水)15時10分
ブレンダン・コール

ゼレンスキーの期待がとりわけ大きい長距離ミサイル、ATACMS(2017年、韓国)  U.S. Army via ABACAPRESS.COM

<昨年末から遅れに遅れたアメリカの追加支援がようやく議会で可決された。ウクライナの挽回は間に合うのか>

ウクライナは、陸海でロシアの侵攻を押し返すため、イギリスから新たに5億ポンド(約960億円)超の軍事支援を受けると、リシ・スナク英首相は発表した。

スナクは4月23日にこの新たな支援策を発表した後、ポーランドを訪問して同国のトゥスク首相およびNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長とヨーロッパの安全保障について会談した。その結果、イギリスのウクライナ支援は2024年度だけで30億ポンド(約5800億円)規模に膨らんだ。

 

この発表前には、米下院が数カ月に及ぶ迷走の末、600億ドル(約9兆3000億円)規模の軍事支援を可決した。米国の支援策は、4月30日に上院で可決され、ジョー・バイデン大統領によって署名される見込みだが、追加支援の遅れでロシアを勢いづかせてしまった今、どれほど効果があるかについては懸念がある。

【動画】追加支援でウクライナ軍が受け取るストームシャドウ、ハスキー、ATACMSの実力

ウクライナのアナリスト、ヴィクトル・コヴァレンコは本誌の取材に対し、西側がウクライナ軍への支援を強化した今、ウクライナ軍司令部は、「反攻と国土奪還について、真剣に考え始める」必要があると述べている。

過去最大の支援パッケージ

スナク政権が4月23日に発表したところによると、今回の資金は、弾薬や防空システム、ドローン、技術支援の迅速な供給のために使われると説明した。ドローンは英国で調達され、支援金がウクライナ国内の防衛サプライチェーン拡大を促進するほか、英国防省が「英国からの単一のパッケージとしては過去最大」と呼ぶ装備が送られる。

装備の内容は、以下の通り。

・沖合攻撃艇(offshore raiding craft) 、高速攻撃艇(rigid raiding craft)、ダイビングボート、艦砲(maritime guns)を含む船艇60隻 

・攻撃・防空ミサイル1600発以上

・長距離精密誘導ミサイル「ストームシャドウ」

・歩兵機動車「ハスキー」160台

・装甲車162台

・全地形対応車78台

・弾薬400万発

アメリカがウクライナに初めて供与する空中発射型の長距離精密誘導ミサイル「ストームシャドウ」はすでに、ロシアの黒海艦隊に対する攻撃で有効性が証明されている。重要なのは、支援パッケージのなかにウクライナ軍が切に必要としている小火器弾薬400万発が含まれていることだ。

グラント・シャップス英国防相は声明の中で、この「記録的な軍事支援策」は、ウクライナが「ウラジーミル・プーチンのロシアを追い出し、ヨーロッパの平和と安定を取り戻す」助けになると述べている。

「イギリスは、対戦車ミサイルNLAWをウクライナに最初に提供し、最新式の戦車も長距離ミサイルも最初に送った。そして今、私たちはさらなる一歩踏み出そうとしている」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中