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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

パリのハンバーガーはクロックムッシュを超えた!

ハンバーガーの肉は焼き加減も聞いてくれる・・写真はミディアム   筆者撮影

パンデミックを機にパリ市内のお店は結構、様変わりして、一時はロックダウンで外に出ることもできずに、特に飲食店は、長い間、営業許可が下りずに、政府からの補助金は出ていたとはいえ、やはり痛手が大きく、閉店してしまったお店も少なくありませんでした。

現在は、「そんなことあったっけ?」と思うほど、すっかり日常が戻ってきていますが、この間に入れ替わったお店を見ていると、「えっ?ハンバーガーのお店がやたら多くない?」と気になるようになりました。

フランス人はハンバーガーが大好き

ハンバーガーといえば、アメリカのものというイメージがあり、うちのフランス人の夫などは、古いタイプのフランス人そのもので、ハンバーガーを侮蔑するようなところがあり、「あんな、手で食べる下品な食べ物・・」などと言って、目の敵にするようなところがあり、「フランスのサンドイッチだって、手で食べるでしょうに・・おかしなことを言う人だ・・」と思っていましたが、これは古いタイプのフランス人にありがちなアメリカのものを毛嫌いしたがる傾向です。

どういうわけか、我が家は娘も「あのパンが嫌・・」とか言って、ハンバーガーが嫌いで、これまではあまりハンバーガーを食べる機会がありませんでした。それでも、私は特にハンバーガーが大好きというわけではなくとも、たま~に食べたくなることがあって、マクドナルドなどで、「今ならセットメニューを買えば、グラスがついてくる!」なんていうキャンペーンをやっていたりすると、そのグラスを口実にそんなセットメニューを買ってきたりしていたのですが、そうすると、娘は頑としてハンバーガーは食べずにチキンナゲットなどを食べるのですが、夫は誰よりも美味しそうにあっという間に平らげるので、「ホントは大好きじゃん!」と思っていました。

だいたい、肉とパンの組みあわせ、フランス人に好まれるのは至極、当然のこと。マクドナルドはパリに73軒(パリには、20区あるので、1区あたり2軒、パリの一つの区は小さいので、これはかなりの量)、それにバーガーキングやクイック、ファイブガイズなどを加えると、チェーン店だけでも、100軒以上になります。それでも、パリ市はその景観を維持するためにという理由でマクドナルドでさえも、テントの色をパリ市仕様に変えて存在しています。

たいていのカフェやブラッスリーにもハンバーガーがある

最近は、カフェやブラッスリーなどのいわゆるフレンチレストランでさえも、メニューの中には、必ずといっていいくらいハンバーガーが組み込まれていて、それが人気メニューの一つとして存在しています。カフェのテラスなどで、器用にフォークとナイフを使ってハンバーガーを食べている人をよく見かけます。そんなカフェのテラスでフランス人が、ハンバーガーでさえもナイフとフォークを使って食べているのも、思わず「おフランス!」などと思いそうになりますが、今ではパリらしい風景の一つになりました。

以前は、パリのカフェの軽食の定番メニューと言えば、クロックムッシュ(ハムやエメンタール、グリエールチーズ、ベシャメルソースなどをはさんだホットサンド)とかクロックマダム(クロックムッシュに目玉焼きがのっている)が定番メニューでしたが、今やあまりこれらを食べている人は見かけることはなく、すっかりハンバーガーがその位置を台頭している感じがあります。

パリのハンバーガーレストランは肉の焼き加減も聞いてくれる

これだけの数のチェーン店のハンバーガーショップがあり、その上、カフェやブラッスリーなどにも必ずハンバーガーがあるにもかかわらず、ハンバーガー専門のレストランがここ数年で驚くほど増えました。そもそも、パリの外食というのは、決して安くはなく(とはいっても、物価の上昇や相応の人件費などを考えれば当然かもしれない)、まあ普通に外食すれば、ランチでさえも16ユーロから20ユーロ(現在のレートで2,500円から3,000円程度)がふつう(むしろ、それ以上)で、ハンバーガーとて、カフェやレストランなどでは、そこそこの値段なので、これまで私は、「何もわざわざレストランでハンバーガーなんか食べなくても・・」と思っていました。

しかし、これだけ人気のパリのハンバーガーは、やっぱり気になり、そのうちの数軒に行ってみました。すると、ちょっと驚きのクオリティでした。まず、なんといっても肉が美味しいのです。レストランに入って、メニューの中から、気に入ったハンバーガーを注文すると、まず、肉の焼き加減を聞かれます。そして、フライドポテトをつけるか、サラダにするかなどをチョイスします(お店により、別料金の場合もあり)。出てくるハンバーガーは、注文通りに肉汁したたる焼き加減です。フランスには、もともと、ステークアッシェという食べ物があり、日本でいうハンバーグとは違って、ひき肉をステーキの形にして焼いたもので、多くのハンバーガーのレストランはこのステークアッシェを使っています。つまり、100%ビーフということです。つまり、フランスのハンバーガーはフランス人が子供の頃から慣れ親しんだものの、変化球バージョンだとも言うこともでき、これだけフランス人に受け入れられる理由の一つでもあったかもしれません。今は日本にいるハンバーガーが好きではない娘がフランス人の友人たちといて、食事時になって、「ハンバーガーでも食べる?」と言う声があがって、一緒にいたごくごく親しい友人が「彼女はハンバーガー好きじゃないから・・」と言ってくれたら、周囲のフランス人たちに、こぞって、「そんな人いるの?」と言われたという話を聞いて、爆笑してしまいました。

最近は、人気ユーチューバーなども、こぞってパリのハンバーガーレストランの食べ歩きを紹介したりしています。

      

ハンバーガーといえば、ファストフードのイメージがありますが、これはもうファストフードのクオリティではなく、れっきとした肉料理・・。フランス人はやたらとこだわり、うんちくを言いたがり、また、それをアピールしますが、ハンバーガーレストランとて、メニューにはシャロレービーフだとか、アンガスビーフだとか、その他、チーズやソースなども、どこの素材を使っているものかが明記されており、また、肉がもうステーキのボリュームでだいたい125g程度(マクドナルドのパティは45g)もあるので、それにチーズ、サラダ、トマト、赤玉ねぎなどなどを加えれば、これは、やっぱりナイフとフォークがなのかも・・?と妙に納得してしまいました。

また、パンもフランスのフランスでのレストランの宣伝の常套句のような「fait maison(自家製)」の文字が・・。このパンも自家製だけあって、お店によってそれぞれですが、ふんわりしたボリュームのあるどちらかというとブリオッシュに近い(しかし、甘くない)ようなパンで、ハンバーガー用に作られていて、なかなか味わい深いものです。

こうなってくると、たかがハンバーガー・・と侮れるものではなく、色々なお店を廻って食べてみたくなってきました。さすがにフランスだけあって、チーズの種類でバリエーションを増やしたり、中にはトリュフソースなんていうのもありますが、ごくごくシンプルなハンバーガーでも、なかなか楽しめます。また、ついこの間、食べたハンバーガーレストランでは、フライドポテトのシーズニングにピーマンエスプレット(フランス南西部の独特な風味のマイルドな唐辛子)を使っているものがあって、ハンバーガーとは別に、これはこれで、なかなか感動しました。

パン屋にも進出するハンバーガーの波

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そんな中、先日たまたま、ちょっとした行列ができている、よさそうなパン屋さんを見つけて、入ってみたところ、たくさんのパン、ヴィエノワズリー(クロワッサンやパンオショコラなど)、サンドイッチ、ケーキ類などが並ぶなか、堂々たる場所を占めているハンバーガーを発見。そういえば、最近、パン屋さんでさえも、ハンバーガーを置いているお店が増えてきました。そのパン屋さんは、行列ができているだけあって、種類もバラエティーに富んでいるだけでなく、お値段もそこそこで、決して高くなく、レストランへ行くことを考えたら、かなりリーズナブル。これは、ここのハンバーガーも食べてみたいと、さっそく購入しようと注文したところ、「ポテトはつけますか?」と言われて、びっくり!。なんと、このパン屋さんでも、ハンバーガーは人気商品のようで、ハンバーガーを買うお客さんのためにフライドポテトもつけてくれる(別料金)サービスまで提供しています。さすがにお肉の焼き加減は注文できませんが、スタンダードでミディアムな焼き加減でした。また、さすがにパン屋さんのハンバーガーだけあって、パンのクォリティは一段と高く、温めますか?と聞かれたので、温めてもらうと、なんとちゃんとオーブンで温めてくれるためにパンがパリッとふわっとしていて、これまた感動。このパン屋さん、家の近くにあってくれればいいのに・・と思いました。

こうして、色々と食べ歩いていると、まだまだパリには美味しいものがたくさんあって、非常に誘惑が多く危険な場所ですが、楽しいところでもあります。パリに来られて、いわゆる伝統的なフレンチをと思われる方も多いと思いますが、パリのハンバーガーもなかなか食べ応えがあり、「所詮は、たかがハンバーガーではないか・・」という偏見を払拭させられるかもしれません。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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