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ダイバーシティ先進国ベルギーから観る欧州 LGBTQI 事情

ひきりん|ベルギー

視聴率男となったゲイコンビ♪ @ フランスの年越し歌番組


ショーの主役はゲイの2人

さて、France 2 が放送したこの大晦日の年越し番組 La grande soirée du 31 à Versailles 》(《ヴェルサイユで大晦日のソワレ》ソワレとは夜の舞台興行やパーティーなどを指します)ですが、プレゼンター(総合司会)を勤めたのが、ステファン・ベルン Stéphane Bern です。テレビ、ラジオ、雑誌とあらゆるメディアで活躍、テレビでは幅広い番組に登場、またフランスの国家的な祝祭行事の司会を数多く務めるなど、35年のキャリアを持つベテラン。ヨーロッパの王室ジャーナリストの顔を持ち、関連したテレビ番組の案内役も長年務めてきたので、その印象が強いフランス人も多いです。各国王室から勲章も授与し、王族の結婚式にもゲストをして招待されるほど(ちなみにこの方貴族の出身という訳ではありません)。2013年にフランスで同性婚が認められる前、賛否の議論が激しく行われた際に改めて堂々とカミングアウトして、注目を集めた人物のひとりです。


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France 2, 《 La grande soirée du 31 à Versailles 》 テレビ画面より筆者撮影

そして、この番組のオープニングと最大の見せ場であるカウントダウンの際に、パフォーマンスを披露したのがレバノン出身のシンガーソングライター、兼音楽プロデューサーの ミカ MIKA。2006年にメジャデビュー、ファーストシングルの『Relax, Take It Easy』が大ヒット、翌07年リリースのファーストアルバム『Life in Cartoon Motion』は550万枚セールスを記録(2007年世界第9位)。来日公演では親交の宇多田ヒカルをゲストに招きデュエットを披露。当初はバイセクシャルと言っていたのが、その後発表した曲の歌詞が男性との恋愛経験を綴ったものとなっていて、改めてゲイとカミングアウトしたという経緯があります。

オープニングでは彼の代表曲、アップテンポ、且つハイトーンボイスが印象的な『Relax, Take It Easy』に始まり、数曲のオムニバスをやはり舞踏会衣装のダンサーと共にやはり鏡の間で披露。

そして、カウントダウンの数分前になって、司会のベルン氏が改めてMIKAを紹介すると、今度は映像が外の庭園へ切り替わります。グランドピアノを弾きながら『Underwater』を弾き始めるMIKA。空には光で作られたハートがゆっくり回転。その曲中、サビに入るところでベルン氏の声で"10,9,8..."とカウントダウンが始まり上空にも数字が表示、それと共に花火ショーの開始です。そして、"3,2,1 Bonne Année !!"との掛け声と共に、2021の文字が上空に現れて打ち上げ花火も。その後は庭園の敷地を使った花火ショーが8分近くに渡って繰り広げられます。このMIKA出演のカウントダウンの様子は花火ショーを手掛けた Group F の公式YouTubeチャンネルでご覧いただけます。ベルン氏のカウントダウンコールは音声も最小限にボリュームが絞られていますが、微かに聞こえますよ。


Groupe F - YouTube 《 Versailles sur son 31, passage à 2021 avec MIKA 》

MIKAの曲の構成もバラード曲とアップテンポの曲が交互に織り交ぜられていて、バラード部分はコロナ禍で生活が苦しくなった人々への癒しの音楽、またコロナで亡くなった方々へのレクイエムのようにも聴こえますし、アップテンポの曲はまさに新年を迎えてコロナに打ち勝とうというようなメッセージが込められているようにも感じられます。個人的にはとても心に沁みるパフォーマンスで、素晴らしい年越しを過ごせた気分でいっぱいになりました。

普段の年であれば、カウントダウン10分前くらいに、ベルギーのテレビ番組にチャンネルを合わせて、ブリュッセルでの花火を画面越しで観ながらシャンパンの栓を開けて乾杯するのですが、今年は豪華にヴェルサイユの花火ショーで年を越したのでした。そして年明け後もショーは続き、40分ほどして終始華やかな雰囲気の中で閉幕したのでした。

他にも、この番組にはフェミニンなゲイのビラル・ハッサニ Bilal Hassani(2017年カミングアウト)も出演しており、かなりのゲイ占有率だったことになります(ダンサーの中にもきっと何人も居たでしょうし)。自身の持ち歌のほか、女性ヴォーカリスト2人とコラボしたABBAの『Gimme! Gimme! Gimme! 』が印象的でした。

Profile

著者プロフィール
ひきりん

ブリュッセル在住ライター。1997年ドイツに渡り海外生活スタート、女性との同棲生活中にゲイであることを自覚、カミングアウトの末に3年間の関係にピリオドを打つ。一旦帰国するも10ヶ月足らずでベルギーへ。2011年に現在の相方と出逢い、15年シビル・ユニオンを経て、18年に同性婚し夫夫(ふうふ)生活を営み中。

ブログ:ヨーロッパ発 日欧ミドルGAYカップルのツレ連れ日記 

Twitter:@hiquirin

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