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ダイバーシティ先進国ベルギーから観る欧州 LGBTQI 事情

ひきりん|ベルギー

ドイツで同性愛者の首相誕生なるか?イェンス・シュパーン保健相 @「ポスト・メルケル」レース

同性愛やLGBTは左派の専売特許ではない

同性愛者やLGBTについて語ろうとすると、日本ではとかく左派の専売特許のような見られ方をする場合があるが(実際のところ、表に出ている政治的動きとは裏腹に、日本での当事者の支持政党分布にしても異性愛者とそう大差なく、無党派層か自民党支持層が多い)、西ヨーロッパではそのような時代はとっくの昔に過ぎ去って90年代頃までの話。2000年に入ってから、同性パートナーシップや同性婚が次々に導入されて、このテーマにおける党派性はかなり無くなりつつある。ドイツの政治家分布にしても、以前は左派の社民党SPDや同盟90/緑の党(日本の政党では立憲民主、社民)、旧東独で強い「左翼党」(同、共産党)などの所属が殆どを占めていたが、現在では中道右派で新自由主義政党FDP(同、日本維新の会、今は無くなってしまったみんなの党により近い)やCDU(同、自民党)など広く分布する。

大都市の市長や、ナンバー2の副首相、兼外相経験者も

また、ドイツの歴史を見ても、同性愛者を公言した政治家も主要な地位を占めてきた。

一番有名で高い人気を誇ったのが、4期14年の長き市政に携わったベルリン市長クラウス・ヴォーヴェライト Klaus Wowereit(SPD、在任2001-14年)。「ヴォヴィ」の愛称で親しまれ、2001年のベルリン市長選挙に臨む前の党大会において「私はゲイですが、それもまた良いことです(Ich bin schwul - und das ist auch gut so!)」と同性愛者であることをカミングアウトし、当時の流行語にもなった。同じく市長では、同時期に初当選のハンブルクのオーレ・フォン=ボイスト(CDU、2001-10年)も居る。このベルリン市、ハンブルク市は、単独でドイツ連邦16州の中の1州の扱いで、市長=州首相でもあり、日本での都道府県知事に相当する。

Klaus Wowereit © Superbass, CC BY-SA 3.0.jpg
クラウス・ヴォーヴェライト元ベルリン市長(2012年撮影) © Superbass, CC BY-SA 3.0

国政ではギド・ヴェスターヴェレ Guido Westerwelle の名が挙げられるだろう。新自由主義的な自由民主党(FDP)の党首を11年務め(2001-11年)、連立を組んだ第2次メルケル政権では副首相(09-11年)、兼外相(09-13年)にまで登りつめた。ヴェスターヴェレが党首になると、それまで左右の二大政党のどちらかと連立し、キャスティング・ボートを握る戦略から、結党以来初めて単独での連邦首相候補を目指すなど意欲的だった(この辺りも橋下徹時代の維新の会に通じる)。なお、外相時代にはドイツで各国要人を迎える時や外遊の際にも、パートナーのミヒャエル・ムロンツ氏を連れ立っており、2010年1月の日本、中国への外遊時には二人揃って明治神宮を訪問した様子が報道のカメラにも捕らえられている。

Westerwelle & Mronz © Tafkas, 2009, CC BY-SA 3.0.jpg
右奥:ギド・ヴェスターヴェレ元副首相、兼外相と左:ムロンツ氏(2009年撮影)© Tafkas, 2009, CC BY-SA 3.0

この3人の経歴から、ちょうど21世紀が始まった2001年に大物政治家が揃って表舞台に登場して来たことが見て取れる。

このようなリベラルなドイツ政界にあり、既に2007年の段階で79%の国民が同性愛者の首相誕生を容認という世論調査も出ている。こうした背景からも、イェンス・シュパーンがCDU/CSU共同の首相候補になり、選挙に勝利し、ドイツ初、また主要国初の同性愛者の首相誕生も決して夢ではないのだ。

実はシュパーン、今回は見送ったものの、2年前の201812月のCDU党首選に出馬している。この時も3人の候補者が出馬し、若手を中心に約15%の得票を得たが、1回目の投票でクランプ=カレンバウアー(この時党首に選出されるもその後辞任、現国防相)とフリードリヒ・メルツ元下院院内総務に敗退。党首にはなれなかったものの、メルケル政権で大臣として初の入閣を果たすことになる。これを機に反メルケルを封印、それまで同じくメルケル批判を繰り返していたメルツと袂を分かち、今回の党首選には出馬をせず親メルケル路線のラシェットに鞍替え。そして、この論功行賞の果実としてラシェットの下でCDU副党首のポストを得た。なかなかにしたたかな顔も持ちあわせる男だ。

Profile

著者プロフィール
ひきりん

ブリュッセル在住ライター。1997年ドイツに渡り海外生活スタート、女性との同棲生活中にゲイであることを自覚、カミングアウトの末に3年間の関係にピリオドを打つ。一旦帰国するも10ヶ月足らずでベルギーへ。2011年に現在の相方と出逢い、15年シビル・ユニオンを経て、18年に同性婚し夫夫(ふうふ)生活を営み中。

ブログ:ヨーロッパ発 日欧ミドルGAYカップルのツレ連れ日記 

Twitter:@hiquirin

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