コラム

アマゾン・エコーが、英会話の練習相手になってくれた

2018年04月19日(木)16時00分

アメリカ版アマゾン・エコーなら、対話技術のコンテストで選ばれた最先端の対話ボットを体験できる seewhatmitchsee-iStock.

AI新聞のリライト

「AIスピーカーって全然使えないっす」。

周りに新しいもの好きの友人が多いせいか、日本でも発売されるやいなや購入した人が多い。そうした友人たちから聞こえてくる感想だ。

「まあちょこっと音楽を聴くくらいですかね」「部屋の照明のオンオフもAIスピーカーでできるようにしているしているんですが、友達がきたときのネタとしてやってるだけで、壁のスイッチ押すほうが早いですね(笑)」などという意見も多い。

AIは、多くの人が使えば使うほど学習して賢くなっていくもの。日本でAIスピーカーが発売になってまだ半年足らず。まだまだ使いづらいというのが、実態なんだろう。

果たして、AIスピーカーは本当にこれから賢くなっていくのだろうか。世界の最先端では、今どの程度の受け答えまでできるようになっているのだろうか。

米Amazonは、同社のAIスピーカー「Amazon Echo」向けの対話技術のコンテストを開催していて、総額350万ドル(約3億5000万円)の賞金を狙って世界中の大学が応募している。応募大学の中から選抜されたソーシャルボット(対話ボット)は現在、アメリカのAmazon Echo上で実証実験中。この実証実験のソーシャルボットの会話のレベルが、今の世界最先端だとみて間違いないだろう。

実は、日本国内で購入したAmazon Echoでも設定をアメリカのamazon.comのアカウントに変更することで、これらの大学の最新ソーシャルボットを試すことができるようになっている。

英語で最先端のエコーと喋ってみる

アメリカのAmazonのアカウントを取るのは少々面倒だが、そこを乗り越えれば、Echoが英語で喋り出す。当たり前だけど、ちょっと感動。

まずはEchoに「Let's Chat(お話しましょう)」と話しかけてみる。

そうすると「〇〇大学チームのソーシャルボットの〇〇です」と、コンテスト参加チームのソーシャルボットが立ち上がった。どうやら「Let's Chat」と話しかけるたびに、異なる大学チームのボットが登場するらしい。

「政治、スポーツ、芸能、音楽、スターウォーズ、どんなことを話したいですか?」と聞いてくるので、「スターウォーズ」と答えると、「スターウォーズのジョージ・ルーカス監督は、〇〇という映画を手がけたこともあります。知ってました?」という雑学を披露してきた。「あ、そうなんだ」と相づちを打つと、スターウォーズに関するジョークを言ってきたりする。

「そうなんだね」「すごいね」「それはびっくり」などと、いろいろ表現を変えても、どんな表現にも慌てることなく適切な受け答えをしてくれる。普通に会話できている感じだ。英会話の練習の相手としてはいいかも。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ソロモン諸島、新首相に与党マネレ外相 親中路線踏襲

ワールド

米UCLAが調査へ、親イスラエル派の親パレスチナ派

ワールド

米FTC、エクソンのパイオニア買収を近く判断か=ア

ビジネス

インタビュー:為替介入でドル160円に「天井感」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story